ずっと開けなかった「見れないファイル」との再会
僕のパソコンの中には、
開けないまま放置しているファイルがいくつかある。
それらは、
まるで時間が止まった小部屋のように、
今もそこにある。
ひとつは「短編小説フィードバック」。
もうひとつは「コンサルブログ最終回」。
どちらも、
過去の僕が何かをやろうとして、
そしてやり切れなかった証。
それは単なる「未完の作品」じゃない。
名前が目に入るたびに、
胸の奥からじわりと何かが滲み出す感覚がある。
——重い。
——苦い。
——そして、何もできない自分を思い出す。
見る勇気もない。
けれど、消すこともできない。
削除してしまったら、
「何もなかったこと」になってしまう気がして。
まだ、可能性がどこかに眠っている気がして。
だから、そっと画面を閉じる。
・・・また、何も見なかったようにして。
「変わりたい」
「ちゃんとやりたい」
「行動したい」
そんな想いはずっとあったのに、
なぜか行動できなかった。
変われない。
変わりたいのに、変われない。
あの頃の僕は、
それを自分の「意志の弱さ」だと、
ずっと責めていた。
だけど、今はわかる。
その理由は、
もっと根深くて、
ずっと勘違いしていたものだったんだと。
自分で書いたはずの文章に、自分の声がなかった理由
「短編小説フィードバック」という名のファイルを、
久々に見た日のことだった。
決して開いたわけでもない。
でも、思い出してくる。
ガタガタ……という冷たいクリック音。
その瞬間、時間が巻き戻るように、
あの日の空気が立ちのぼってきた。
今でも忘れない。
あれは確かに僕が書いた文章だ。
でも違う。
とても自分だと自分で言えない。
どこか他人の文章のように思えた。
あの時、
僕は何を考えて書いていたんだろう。
何を伝えたくて、
何を書きたくて、
何を表現したかったんだっけ？
・・・思い出せない。
いや正確には、
「思い出したくなかった」のかもしれない。
その文章はどこかぎこちなくって、
無理やり詰め込まれた歌詞の引用や、
流行っていた表現であふれていた。
「それっぽく」見せるための技術や、
他人の言葉の借り物ばかりで構成された文章。
自分が書いたはずなのに、
どこにも「自分の声」がなかった。
——だから、見るのが怖かった。
——だから、開けなかった。
——だから、「変われない」ままだった。
だけどその日、僕はこう思った。
～～～～～～
これって、
「下手だった」とか「失敗した」とかいう話じゃない？
そもそも僕は、
自分がなぜ書きたいのかを知らなかったんじゃないか？
自分が何のために書こうとしていたのかも、
まるで見えてなかったんじゃないか？
～～～～～～
そして気づいたんですよね。
この文章には、
僕自身の構造的な「無理解」が詰まっている、と。
この気づきが、
「変われなかった理由」の核心に触れた瞬間だったんです。
・・・もしかしたら、
こんな理解もただの言い訳かもしれません。
それでも僕にとっては、
一つのきっかけになってくれたって、
確かに感謝することはできます。
「行動できない」は誤解だったと知った日
「行動できない」ことを、
ずっと自分の意志の弱さのせいにしてきた。
3日坊主、
計画倒れ、
先延ばし・・・
どれも僕という人間の、
「根本的な欠陥」のように思えていた。
でも今は、少し違う見え方になっている。
というのも、
——それらは「できない」のではなく、
「仕組みを知らなかった」だけだったから。
目的地がわからないままに地図を広げて、
「たどり着けない自分」を責めていたようなもの。
たとえば・・・
小説を書くという行動ひとつ取ってもそうだったかな。
なぜ書くのか、
何を書きたいのか、
どんな文体が自分らしいのか。
そういった構造的な理解がないままで、
ただ「書かなきゃ」と思って続けていた。
その結果として、いつの間にやら、
僕は「自分の言葉じゃない何か」を書き続けていた。
しかもそれを、
書いている最中には気づけなかった。
それと同じことが、
日々の行動にも起きていたんだ。
「やらなきゃ」と思ってるのに、
やる気が起きない。
「変わりたい」のに、
変わるための第一歩すら踏み出せない。
それはつまり、
「何をどうしたら変わるのか」
「何が変わるということなのか」
という理解が、僕の中にはなかったから。
知らなかったから、
——怖くて動けなかった。
知らなかったから、
——自分に触れるのを避けていた。
知らなかったから、
——誤解したまま、ずっと自分を責めていた。
でもその日、
開けなかったファイルと向き合うとして、
自分の文章を知ろうとしたことで、
ようやく気づくことができた。
——ああこれは、
「行動できないんじゃなくて、
『構造を知らなかった』だけなんだ」って。
それは「行動力の問題」ではなく、
「知識と視点の問題」だったんだと。
過去は放置じゃなく、向き合い方で意味が変わる
あのファイルは、
過去の象徴だった。
見ることができなかったし、
けれど、削除もできなかった。
まるで「墓標」みたいに、
僕の中に立ち続けてたんだ。
でも今の僕は、
そのファイルを「見る」か「見ない」かを、
自分で決められるようになった。
それは、
感情的に過去を克服したとか、
傷を癒したという話じゃない。
もっと淡々とした、でも確かな「変化」だ。
——今なら選べる。
これは、僕にとっての大きな自由だった。
向き合うか、
向き合わないかを選べるということ。
過去をなかったことにするんじゃなくて、
その意味を再定義すること。
例えば、
短編小説のファイルには、
僕の未熟さが詰まっている。
でも同時に、
それは「知ろうとしなかった自分」を知る手がかりでもある。
知ること。
理解すること。
そして、自分の「行動できなかった理由」を、
自分の中の「構造」として捉えなおすこと。
それって、過去を美化することでも、
許すことでもない。
ただ、「意味を与え直す」こと。
そうして初めて、
僕はようやく自分の過去と「共存」できるようになった。
変化哲学が教えてくれた、本当に変わるということ
変化哲学は、
僕に「努力」や「やる気」ではなく、
「構造」と「理解」を教えてくれた。
人はなぜ変われないのか？
それは、
「変わるとはどういうことか」を知らないからだ。
「変化」というものを、
どこか魔法のように捉えていた。
強い感情が湧けば変われるとか、
辛い経験が自分を変えてくれるとか。
そんな風に、
外からの衝撃によって変わるものだと思っていた。
でも違った。
変わるというのは、
「自分を知っていくこと」だった。
行動できない理由、
怖くて開けなかったファイル、
自分の声がなかった文章、
それら全てが教えてくれたのは、
僕が「知らなかった」という事実だ。
なぜ変わりたかったのか？
なぜできなかったのか？
そもそも「変わる」とはどういう意味だったのか？
変化哲学は、
それを一つずつ解き明かすプロセス。
淡々と、そして確実に。
何かが一気に変わるわけじゃない。
だけど、
「ああ、自分ってこうなってたんだ」と理解していくごとに、
じわじわと、でも確かに、
——変わっていく
あの日、僕はファイルを開いた。
ただそれだけのことだった。
でも、その「ただそれだけ」が、
ずっと抱えていた、
「変われない理由」を変えてしまった。
これが、僕にとって一つの、
「変化」の始まりだった。
今も、僕のパソコンの中には、
まだ開いていないファイルがある。
だけどそれは、
放置していてもいいと思っている。
開きたくなったときに開けばいいし、
開かないままでも構わない。
——自分で選べるようになったから。
「行動できない」は、もう誤解じゃない。
「変わりたいけど変われない」は、
もう自己否定じゃない。
知ること。
理解すること。
そして、
自分の中の構造に名前をつけていくこと。
変化哲学は、僕にそれを教えてくれた。
そして今、こうして書いている文章には、
確かに、自分の声が乗っている気がする。
あなたにも「変われない理由」がありますか？
もし今、あなたの中にも——
「変わりたいのに変われない」
「やらなきゃと思うのに動けない」
「行動したいのに、怖くて踏み出せない」
そんな葛藤があるとしたら、
それは決して「意志の弱さ」なんかじゃありません。
ただ、まだ【変化のしくみ】を知らないだけです。
僕もずっと、
同じ誤解に苦しんでいました。
でもあるとき、
その「構造」に気づいたことで、
すべての見え方が変わりました。
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